初心者のためのQGIS使い方マニュアル
QGIS(ver.3.4.12)の使い方
2021/6/26 最新更新
QGISは、様々なレイヤ(地図とか位置情報とか)を重ねて表示できる便利なものです。
いろんな使い方ができると思うのですが、最低限必要な手順をまとめておきます。
- 1. 地形図
- 2. 地質図
- 3. 活断層トレース(国土地理院都市圏活断層図)
- 4. 観測点
- 5. 地図上に常にアクセサリを表示する方法
- 6. データ出力/印刷用の図作成
- 7. 陰影図の作成
- ○使えたらかっこいい技一覧
1. 地形図
①国土地理院の「基盤地図情報ダウンロードサービス」にアクセス。
②「ダウンロード」の「基本項目」の「ファイル選択へ」をクリック。
③自分が欲しいエリアをクリックして選択。(複数選択可)
④すべて選択したら、「選択リスト」の「ダウンロードファイル確認へ」をクリック。
⑤「全てチェック」→「まとめてダウンロード」
⑥圧縮ファイルがダウンロードされるので、「すべて展開」
*展開先は適当に決めるのではなく、自分でわかりやすいようにフォルダを作る方が後々困らない。
⑦展開したフォルダは2つある(普通)。名前に(DEM)って書いてるファイルは標高データ(Digital Elevation Model;数値標高モデル)。地形のデータが入っているのは「ALL」の方。
⑧「ALL」の中には、たくさんデータがある。地形は「Cntr」。
ファイル名 | 中身 |
---|---|
AdmArea | 行政区画 |
AdmBdry | 行政区画界線 |
AdmPt | 行政区画代表点 |
BldA | 建築物 |
BldL | 建築物の外周線 |
Cntr | 等高線 |
CommBdry | 町字界 |
CommPt | 町字の代表点 |
ElevPt | 標高点 |
GCP | 基準点 |
RailCL | 軌道の中心点 |
RdCompt | 道路構成線 |
RdEdg | 道路構成点 |
SBAPt | 街区の代表点 |
SBBdry | 街区線 |
WA | 水域 |
WL | 水涯線 |
WStrA | 水部構造物面 |
WStrL | 水部構造物線 |
⑨ここでのファイルはXMLファイル(.xml)なので、QGISで読み込むためにはshapeファイル(.shp)に変換しないといけない。
○.xmlから.shpへの変換
1.「基盤地図情報ビュアー(FGDV.zip)」をダウンロードして、解凍。
2.「基盤地図情報ビュアー(FGDV.zip)」を起動。(FGDV.exeをダブルクリック)
3.「ファイル」→「新規プロジェクト作成」
4.「追加」で、Cntrファイルを選択。
*フォルダごと選択されてしまう場合は、フォルダの上で「右クリック」→「開く」でフォルダを開けるので、Cntrファイルを選択。
5.「OK」をクリック。すると、キャンバスに等高線が出てくる。
6.上の「エクスポート」→「エクスポート」
*変換種別は「シェープファイル」
*変換する要素にチェック
*「直角座標系に変換」はチェックなし
*「全データ領域を出力」を選択
*「出力先フォルダ」を指定
*ここでは、いまキャンバスに追加されている.xmlファイルが1つの.shpファイルになるので、複数エリアをまとめてQGISに重ねたいときは、まとめたい.xmlファイルをすべて追加してからエクスポートすること。
7.出力したシェープファイル名を英数字に変える。(4つとも同じ名前にする。)
⑩QGISを起動し、重ねたい.shpファイルをドラッグアンドドロップ。
⑪座標系を選択(とりあえずWGS84が無難)
⑫レイヤパネル(「ビュー」→「パネル」→「レイヤ」にチェックで出せる。)の地
形図レイヤをダブルクリックすると、線の太さや色など、いろいろいじれる。
2. 地質図
①「シームレス地質図-ダウンロード索引」にアクセス。
②欲しい領域を選択。
③shapeファイルをダウンロード
基本版:1992年に刊行された100万分の1日本地質図第3版の凡例を基に作成され、
凡例数が基本版194、岩相区分を加えた詳細版は凡例数386のもの。
詳細版:100万分の1日本地質図第3版出版から25年間の地質学の進展を反映するととも
に、凡例を構造化することによって時代・岩石種・岩相それぞれで用途に応じ
て簡素化した地質図の表現ができるよう設計された.
これによって凡例数は2400を越えるもの。
④圧縮ファイルを展開。これも地形図の時と同じく、展開先のフォルダはきちんと作っておく。
⑤QGISを起動し、.shpファイルをドラッグアンドドロップ。
ファイル名 | 中身 |
---|---|
~_d_a.shp | 領域 |
~_d_l.shp | 境界線 |
3. 活断層トレース(国土地理院都市圏活断層図)
①国土地理院HPの「地理院ホーム」→「刊行物・資料」→「国土地理院技術資料とその提供について」ページの、2.国土地理院技術資料の提供について【1】国土地理院のウェブサイトに掲載されていないものの「国土地理院技術資料の提供申請について」をクリック。
②指示通りに提供申請フォームから希望する技術資料番号を調べてメールを送る。
*4,5日経ってもファイルが送られてこない場合、電話してもよいかも。
③返ってきたメールに添付されているURLからファイルをダウンロードする。
④同様に圧縮ファイルを展開し、.shpファイルに変換する。
4. 観測点
① 観測点情報の入力ファイルの作成
観測点の名称・緯度・経度のCSVファイルと属性を示すcsvtファイルの作成
点名 | Long | Lat |
---|---|---|
〇〇 | 135.0000 | 35.0000 |
以下続く |
②QGISの「レイヤ→「レイヤの追加」→「ディリミティッドテキストレイヤの追加」
③追加するファイルを選択し、ファイル形式はCSV。
④▼ジオメトリ定義のXフィールド・YフィールドをそれぞれLong・Latにする。
*CSVの緯度経度を度分秒で作成した場合、「度分秒を使う」にチェック
⑤レイヤパネル(「ビュー」→「パネル」→「レイヤ」にチェックで出せる。)の、今重ねたレイヤをダブルクリックすると、アイコンの大きさや形・色など、いろいろいじれる。
⑥プロットされた点にラベルをつけるには、右図のラベルアイコンを選択し、一番上のドロップダウンリストから「単一のラベル」を選択すると、いろいろできる。
*ラベルにするデータの選択は、一番上のドロップダウンリストの下の「ラベル」のドロップダウンリストから選べる
5. 地図上に常にアクセサリを表示する方法
・「ビュー(V)」の中の「地図整備(D)」から、表示させたいものを選ぶ。
6. データ出力/印刷用の図作成
図の作成方法は、主に2種類
① 作業画面から直接エクスポートする方法
利点:作業中のそのままの画面を図にできるので、早い&楽。
欠点:きれいに整理された図は作りにくい。
同じ図を再現してもう一度作ることが極めて難しい。
② 図作成用の「レイアウトマネージャ」を使う方法。
利点:作業中の画面とは別で保存できるので、時間がたってからも修正可能。
アイテムや表示機能がたくさんあるので、割と思い通りの図が作れる。
欠点:いろんなことができるので、慣れるまではめんどくさい。
① 作業画面から直接エクスポートする方法
・「プロジェクト(J)」の「インポートとエクスポート」
・「地図をPDFにエクスポート」を選べばPDFにできる。「地図を画像にエクスポート」を選べばそれ以外の画像ファイルにできる。
・描画範囲や縮尺を決める。真ん中上の「キャンバスの領域」を選べば、作業画面に描かれている領域がそのまま範囲になる。
※作業画面がそのまま出力される(スクリーンショットのような感じ)ので、方位記号や縮尺は、必要であれば表示させた状態で行わなければいけない。
② 図作成用の「レイアウトマネージャ」を使う方法。
1.「プロジェクト(J)」の「レイアウトマネージャ」
2. テンプレートから新規作成、で「空のレイアウト」を選択し、「作成」
③つくる図のタイトル(レイアウトマネージャ内のファイル名になる。)を決める。
④画面左のアイコン「地図を追加」でキャンバス上に描画する範囲を決め、描画。
⑤画面左のアイコンから、同じ要領で必要なアイコンを追加。
⑥画面右上の「アイテムパネル」でいじりたいアイテムを選択し、画面右下の「アイテムプロパティ」でいろいろいじる。
⑦上のアイコンから、「PDF」か「それ以外の画像ファイル形式」のどちらで出力するかを選択。
7. 陰影図の作成
基本的に、ラスターデータで標高の情報が入っていれば、QGIS上で陰影図にすることは可能。逆に言うと、ベクターデータ(等高線など)では描画できない。よって、選択肢は以下の3つ(いまのところ)。
1⃣対象地域の、標高のデータが入ったラスターデータを入手し、QGIS上で陰影図にする。
2⃣陰影図としてのラスターデータを描画する。
3⃣国土地理院の地理院タイルから、直接レイヤとして読み込む。
1⃣:わかりません。
2⃣
①国土地理院 基盤地図情報ダウンロードサービス から、対象地域の数値標高モデル(DEM)をダウンロード(https://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php)。
②「基盤地図情報 標高DEMデータ変換ツール(株式会社エコリス)」で、DEMをGeoTIF形式に変換(https://www.ecoris.co.jp/contents/demtool.html)。
1.標高DEMデータ変換ツールフォルダ内にある変換結合.vbsをダブルクリック して、変数の入力後、1.でダウンロードしたXMLファイルが入っているフォルダを選択する。
2.フォルダ内のXMLが、すべてGeoTIFFに変換される。(投影法は緯度経度)
3.すべてを結合したGeoTIFFがmerge.tifという名前で保存される。(2.で選択した投影法)
4.陰影起伏図がmerge_shade.tifという名前で保存される。(2.で選択した場合)
merge | 同一フォルダ内のDEMデータを統合したもの |
merge_shade | mergeを陰影図に変換したもの |
③QGIS上にドラッグ&ドロップで描画できる。merge_shadeは、描画すれば陰影図になる。mergeはただの標高図。
ただし、mergeを標高図として描画してから、それを陰影図に変換することも可能。
●merge(標高の情報を持ったラスタデータ)をQGIS上で陰影図に変換する方法
・画面上「ラスタ(R)」→「解析」→「陰影図」
・「入力レイヤ」で、陰影図のベースになるレイヤを選択。
・「ライトの方位角」や「ライトの高さ」を適当に決める。
・「実行」
3⃣
① 国土地理院HPの「地理院タイル一覧」にアクセス
(地理院地図|地理院タイル一覧 (gsi.go.jp))。
② ページ下から、データソース「陰影起伏図」を探し、URLをコピー。
③ QGISを開き、「レイヤ(L)」→「レイヤを追加」→「XYZレイヤを追加」
④ 「新規(N)」→「名前」にレイヤ名を入力。「URL」に、コピーしたURLを貼る。
⑤ 「OK」をクリック。(この時点で、ブラウザパネルのXYZ Tilesのところに出てくる。
出てなかったら、「ビュー(V)」→「パネル」→「ブラウザ」にチェック。)
⑥ 「追加」で、レイヤとして追加される。
○使えたらかっこいい技一覧
1.重ねたレイヤの透過度を簡単に変えられる方法(ラスタデータ)
・レイヤパネルの中の透過度を変えたいレイヤをダブルクリック
・「透過性」のページの上の「グローバルな不透明度」のバーをいじると変えられる。
・「凡例」のページの「使用可能なウィジェット」の「不透明なスライダ」を選択し、真ん中の右矢印をクリックして「使用するウィジェット」欄に入れる。
・画面下の「OK」を押すと、レイヤパネルに不透明度をいじれるバーが出現するので、プロパティを開けなくても自由に不透明度を変更できる。
2.レイヤの中の属性をいじる方法(活断層データなら、伏在部や不明瞭なものも別のレイヤにすることができる。
・レイヤパネルの、いじりたいレイヤを右クリック。
・属性テーブルを開いて、一番左上のマークをクリック。
・属性一覧の中から、そのレイヤに残したい属性以外は消去。
☆消してしまうと、元のファイルからも消えてしまうので注意。